囚人狂時代 | BOOK REVIEW

囚人狂時代

▼この本に関する情報▼
囚人狂時代/見沢 知廉 著(新潮文庫)

■■ ス マ イ リ ー キ ク チ さ ん ■■

 この本を買ってから何年も経ちますが、今だに年3、4回は読んでいます。著者の12年間に及ぶ刑務所での獄中生活の話なんですが、今までの刑務所本とは目線が違うんです。囚人でありながら、他の囚人の心理面などを分析している所は思わず「へぇ~」とうなずいちゃいました。

 「なぜ、人は罪を犯すのか」、囚人達が罪を犯すまでの経緯などを細かく描写していて、ゾッとする。あともう一つ驚いたのが「運勢」って実は存在するのでは、と思われたところ。著者が囚人達に様々な占いをした結果、その中の一つの占いが当たったというくだりがあります。調べるとその人は、罪人になる運命がすでにあったそうなのです。悪いことをする人間はどこか感覚が違うんだと思っていたし、占いはあんまり信じてなかったのですが、この本を読んでから考えが変わりましたね。この占いの箇所はもう何十人にも話した気がする。

 それ以外にも当時、話題になった事件の首謀者と留置所や刑務所で一緒になり、この中で会った人しか知り得ない犯人達(実名)の内面性を語っている裏話に驚きの連続でした。
 この刑務所には凶悪犯が様々な罪で入所してくる。共同生活の辛さや孤独感も伝わってくるし、時に滑稽で異様な気がした。でも、人生は歯車が狂うと、こういう世界に入る可能性もあるんだなぁ~と感じます。そして刑務所に入るようなことは一生したくないと思う本でした。