秘密 | BOOK REVIEW

秘密

▼この本に関する情報▼
秘密/東野 圭吾著(文藝春秋)

■■ 藤 井 宏 和 (飛 石 連 休)さ ん ■■

 ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、読み終わって不思議な気持ちになる小説でした。

 とある仲のいい母娘が、スキーバスで転落事故に遭遇。母は亡くなり、娘は一命を取り留めるのですが……なんと、娘の体には母の魂が。事故当時、娘は小学5年生。もちろん世間に「母娘の魂が逆に!」なんて言えず、残った父と娘(魂は母)は、見た目通りの生活を続けることに。

 さて、話はここから。娘が思春期に入ると、男友達くらいはできるわけです。それに父が猛烈に嫉妬をするんですよ。当然ですよね。本来は妻ですから。その妻は、浮気なんて気持ちは微塵もないんですが、父は必要以上に勘繰り、彼女をきつく囲おうとします。その気持ちがねぇ、痛いほど伝わってくるんですよ!時には異常とも思える行動も、それを責める気にならないくらいに。

 それから話は二転三転、結末やいかに。あなたにとってはハッピーエンドでしょうか。それとも?